お坊さんが教える、お盆の迎え方。

  • 2018.08.08 Wednesday
  • 22:28

さて、久しぶりに住職のコラム的な物を書かせて頂きたいと思います。

 

今回のテーマはお盆です。

なぜ7月と8月にお盆があるのか説明したコラムはこちらの記事をご参照ください。 

 

 

今回は「お盆の迎え方」についてお伝えします。

 

「そろそろお盆だから、お盆中にお墓参り行くか」と

考える方もいらっしゃると思いますが、厳密にはその考えは異なります。

 

まずはそこから説明を始めてみましょう。

 

 

 

1、お盆とは

お盆は7月又は8月の13日〜15日までの3日間(最近では16日迄の4日間)に、

ご先祖様や亡き人を自宅に呼び、おもてなしをしてご供養をする仏教行事です。

 

 

つまり、むしろお盆はお墓にいらっしゃるご先祖様を自宅に迎えるので、

お盆にお墓参りをしても「そこに私はいません」となる訳です。

 

 

とはいえ、私のお寺でもお盆中にお墓参りをする方は多くいらっしゃいます。

特にご自宅にご先祖様をお迎えしていない家庭にとっては、お盆だからお墓参り行くかは勿論ありでしょう。

しかし、ここでは古より伝わる正式な「お盆の迎え方」をぜひして頂きたく一筆致します。
特に新盆の方は、親族から後ろ指指されるような事の無いよう、ぜひご一読下さい。
2、お盆の準備
まずはお盆の前に精霊棚(しょうれいだな・せいれいだな)・盆棚(ぼんだな)を作ります。
※どちらも同じ物を指します
これはご先祖様や亡き人へ沢山のお食事をもてなすための言わば食卓ですので、これが無いとお盆は始まりません。
この設営が中々大変ですが、やはり形は大切です。
お正月に門松を飾り、鏡餅を供えると、神様を迎えるという気持ちがあるなしにせよ、厳粛な気持ちになるのと同様でしょう。
お盆に盆棚を作ると、ご先祖様や故人を再び身近に感じることが出来ます。
形の力は偉大です。
ここは何とか踏ん張りましょう。

 

 

 

さて、昨今では3種類ほどの精霊棚の作り方があります。

 

 

仝斗茲茲蠹舛錣訶租の精霊棚

1、 1〜2段の棚をお部屋に設置します。

2、 棚の上にマコモや白い布などを敷きます。

3、 棚の四すみに葉のついた青竹を立て、しめ縄をはって結界をつくり、ほおずきなどを垂らします。

4、 棚の奥にお位牌を安置し、手前に牛馬などの盆飾りを飾ります。

5、 経机を棚の前に置き、リンなどを置きます。

 

 

 

都心部で多く見る精霊棚の飾り方

 

現代の住宅事情では、なかなかスペースがなく,遼楹陛な物を作るのは非常に難しいものです。

その場合は、下図のように仏壇の前に机を置いて、その上にまこもや白い布を敷き、お位牌や牛馬などの盆飾りを置きます。

 

 

スペースがほぼ無い場合の飾り方

しかし、マンションや一般的な住宅だと仏壇の前に机を置くのも難しいと言うのが現実ではあります。

その場合は仏壇の中に直接お盆セットを飾りましょう。

 

 

 

 

 

また、最初にお伝えしたように、お盆が近づいてきたらお墓の清掃を行っておきます。

お墓から亡き方々はそれぞれの家に帰るからです。

 

 

 

 

 

 

3、盆飾りを飾る

 

精霊棚を作った後は、お盆ならではの盆飾りを供えます。

代表的な物を次に掲げました。それぞれに亡き人を想う意味が込められており、その背景を知る事で一層気持ちも入ります。

これらの多くは主に仏具屋さん、ホームセンター、スーパーなどで売っています。

 

キュウリの馬とナスの牛

キュウリは足の速い馬に見立てられ、

「早く家に戻って欲しい」という祈りが込められています。

ナスは歩みの遅い牛に見立てられ、

「景色を見ながらゆっくり帰って欲しい」「沢山のお土産を持ち帰って欲しい」という祈りが込められています。

 

作り方は割り箸などを折ったものを、ナスとキュウリのヘタ部分が頭になるようバランスよく4本刺すだけです。

ただ、昨今ではキュウリやナスは用いず、わらで模したものを使う事が多いです。

 

 

 

盆提灯

亡き方々が迷わず帰って来る為の目印で、絵柄の入った提灯と白い提灯があります。

絵柄の入った提灯は精霊棚の周りに置きます。

白い提灯は新盆の時のみにお飾りする物で、軒先や窓際、精霊棚周りなどに吊します。こちらは新盆が終りましたら処分します。

※新盆=故人が49日を過ぎて初めて迎えるお盆のこと

 

 

 

ほおずき

迎え火や提灯の灯りを頼りに亡き方々は戻ってくることから、ほおずきも提灯に見立てて精霊棚に飾ります。

しめ縄を張って逆さに吊るすのが伝統的ですが、お供えのお花に添えてもよいでしょう。

 

 

 

まこもの敷物

まこもは薬用成分を含んだ植物で、お釈迦さまがまこものむしろに病人を寝かせて治療された仏話から、お盆の敷物にも使うようになったと言われております。

 

 

 

みそはぎの花

紫色の小さな花を咲かせる「みそはぎ」は萩(みそぎはぎ)とも書かれ、清めのために使います。

器に水を入れ、花を3〜5本束ねたものを供えます。

適宜、このみそはぎでお供物などに水をパッパッと振りかけて下さい。

 

 

 

 

4、迎え火

 

迎え火とは亡き方々が迷わずに帰って来られるよう目印として焚く火の事を言い、主に13日の夕方に焚きます。

焚く場所は玄関・庭先など。

マンションでしたらエントランスの前などでしょうか。

 

火の材料はがらが一般的で、焙烙(ほうろく)と呼ばれる素焼きのお皿などの上で焚きます。

尚、古式に則りお墓の前から丁寧にお迎えする際は、お墓で点けた火を提灯などで自宅まで持ち帰り、亡き方々を導きます。

それぞれ火の扱いには十分注意致しましょう。

 

 

 

 

 

 

5、おもてなし

 

さあ、亡き方々をお迎えしたら、滞在中は様々なおもてなしを致しましょう。

次に伝統的な供物をご紹介します。

 

 

野菜や果物、食事

お盆にはごちそうを供えよ。

と、とあるお経に書いてあります。

夏野菜や果物、霊膳も供えたいものです。

また精進料理にこだわらず、亡き人が好きだった物を供えるのが現代の流れでしょう。

 

 

茹でたソーメン

お供えしたお土産を結ぶ紐代わりに使うと言われています。

 

 

子(みずのこ) 

生米、ナス、キュウリなどを細の目に切って混ぜ合わせた物が水の子です。

縁のあるご先祖様や故人様以外にも、

事情があって呼んでもらえなかった魂や餓鬼などへも食べ物が行き渡って欲しいという、美しい願いが込められています。

 

 

 

お団子

ご先祖様や故人様をお迎えしたら、あんこ付きの「迎えだんご」を供え、14日はおはぎなどの「落ち着き団子」。

15日はシンプルな白い団子の「送りだんご」を供える。

という風習もあるようです。

 

 

 

 

 

 

 

6、棚経(たなぎょう)

お盆の期間中には、お寺から檀家様のご自宅へ、ご供養にお伺いする風習があります。

これをといいます。

ご自宅に迎えているご先祖様や故人様を懇ろに供養するために行います。

新盆のご家庭では特に執り行いましょう。

 

 

 

 

7、送り火

 

「送り火」は15日の夕方(16日とも)に、ご先祖様や故人様をお送りするために焚く火の事をいいます。

迎え火と同じく、麻がらなどを焚いてお送りします。

また、この日にちに関しては、地方やご家庭によって異なる事が多いようです。

京都の大文字焼きなどは16日の夕方で、インターネット上では「16日迄」の表記が多いです。

 

また、海や川に灯籠や供物などを流してご先祖さまお送りする「灯籠流し」もあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8、まとめ

 

如何でしたでしょうか。

 

お盆の風習は本当に地域でさまざまです。

お盆に必ずサバを食べる地域もあれば、庭先に竹などで作った高燈を立てる地域もあります。

同じ神奈川県でも東と西、海側と山側ではかなり異なる事があります。

 

このコラムは横浜市神奈川区で生まれた住職が見聞きし、体験した一般的と思われる風習を述べさせて頂きました。

ですので、こうしなくてはいけないというものでは決してありません。

 

ここには書かれていなかったり、少し異なる風習がご家庭にはおありだと思います。

その場合はぜひそちらを選んで下さい。そのルーツはおそらくご先祖さまの生まれた地域の風習なのだと思います。

それは、ご家族が大切に守り貫いてきた証です。

それらを更に皆さまのお子様やお孫さんが代々受け継いでいくということはとても素敵なことだと思います。

 

また、少しそれますが、映画「いま、会いにゆきます」で中村獅童さんが、1年後に家に再び帰ってきた亡き妻、竹内結子さんと期間限定の生活をするストーリーはお盆を想像せずにはいられません。

 

何はともあれ、伝統の形というものは私たちの心を調えてくれます。

皆様、どうぞ良いお盆をお迎え下さい。

 

 

合掌

焼香の仕方 曹洞宗

  • 2017.02.04 Saturday
  • 18:08

法事や葬儀で我々を悩ませる「焼香」

 

 

 

 

宗派により作法もさまざまで「これであってるのかな」と終始ドキドキしてしまい、

心ここにあらずの焼香をしてしまう人も多いかと思います。

 

ちなみに、こちらが宗派別の簡単な焼香作法一覧です

 

 

 

焼香はケガレを取るとか、死者の食べ物になるとか諸説ありますが、

何はともあれ、故人様へ祈りを捧げる供養方法の一つです。

 

供養だからこそ、慌ててしまう心あらずの焼香は避け、

大切な人へ気持ちを確かに伝えるお焼香をしてほしいと、司祭者としては切に願うばかりです。

 

 

そこで、「気持ちを確かに伝えるためのお焼香作法」と題し、

当寺の宗派である曹洞宗のお焼香作法をまとめてみました。

 

 

 

 

 

「曹洞宗のお焼香のポイント」

 

・焼香は2回 

・1回目は押しいただいてから炭にくべて、2回目はそのまま炭にくべる

・1回目の焼香は「主香」といって祈りの焼香

・2回目の焼香は「従香」といって香りが長持ちするように加える焼香

 

 

 

 

 

 

 

〇歌鷦圓悵Щ

 

 

∋丙彈圓悵Щ

 

 

焼香台の前に立つ

 

 

す臂鍵賣

 

 

ケ手で抹香をつかむ

 

 

手をかえす

 

 

 

С曚鵬,靴い燭世い毒阿犬

 

 

 

炭にくべる

 

 

 

2回目は額に押しいただかず、

そのまま炭にくべる

 

 

 

祈る

 

 

 

合掌一礼

 

 

 

僧侶・参列者へ一礼

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

焼香を一つマスターするだけで、不思議と仏事が怖くなくなります。

 

あまり良い譬えではないのかもしれませんが、

高級レストランのマナーと一緒です。

マナーが分からないとドキドキしてしまって心から食事を楽しめない。

仏事の作法が分からないと故人様への祈りが心から行えない。

 

 

仏事は他にも色々な作法がありますが、

招かれる法事や葬儀でしたら、焼香の仕方と数珠の持ち方をマスターしておけば充分でしょう。

 

 

ぜひ良い供養をお営み下さい。

 

合掌

 

 

 

 

 

参考までに数珠の持ち方も掲載しておきます。

 

●通常の持ち方

●合掌の際の持ち方

 

横浜のお盆

  • 2016.08.11 Thursday
  • 18:54

どんなお仕事にも忙しい時期というのがあると思います。

税理士さんは年末や決算期。運送屋さんはお中元お歳暮の時期。

 

お寺はというと、やはり夏です。

ついでに言えば12月と1月もですが、この記事ではあえて夏にスポットをあてます。

 

なぜかと言えば、

ご存知、「お盆」があるからです。

 

 

住職はこの時期の前後、様々なお寺を訪れ法要に参列させて頂いております。

計20程のお寺の法要に参列するので、ブログの更新も滞りがちになります(言い訳)。

 

 

 

さて、そんな話は置いときまして、このお盆。

7月と8月にあるというのはご存知でしょうか?

「家の実家のお盆は8月だよ」「お盆休みだって8月じゃん」「でもそういえば7月にバイクに乗っているお坊さんを見るな」

 

いろいろ思うところはあるでしょう。

 

実は陽光院のある横浜東部はほぼ7月がお盆です。しかし、少し場所を離れればお盆は8月。

というなんとも不思議な現象がそこには繰り広げられているのです。

 

 

なぜだと思いますか?

 

 

 

それは明治初期、政府は今まで使っていた暦から、現在おなじみの太陽暦に変えたからです。

伴ってお盆の時期も8月から7月に変わった訳です。

 

 

政府「国民よお盆はこれから7月だぞー」

 

国民「今まで8月に行っていたのにそりゃないよー」

 

更に農業を生業にしている方は7月はそれこそ繁忙期のようで、せっかくの故人との出会いが慌ただしくなってしまいます。

 

それゆえ

 

国民「家は従来通り8月にやるよ!」

となったのでしょう

 

(あくまでイメージの世界です…)。

 

 

 

そんな経緯からか、

明治政府に近かった都会は大体7月。

農業が盛んな地域もしくは当時盛んだった地域は8月。

という図式が出来上がったとよく聞きます。

 

 

全国の大体の棲み分けは以下のようです。

 孱祁酲漾7月15日ころが中心  東京・横浜・千葉・静岡など 
◆孱厳酲漾 8月15日ころが中心  全国的に多く、北海道 新潟 長野関東南部 関西地方 など

 

 

ちなみに、横浜市で見れば、住職の感覚では戸塚区瀬谷区辺りより西は8月というような印象です。

 

 

 

 

7月盆はすでに終わりましたが、8月盆は明後日13日からです。

もし、まだお盆をされていらっしゃらなければ、迎え火を焚いて、ぜひご先祖様に思いを馳せてはいかがでしょうか。

 

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